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令和元年度卒業式・学位授与式-式辞に代えて-【学長メッセージ】

卒業・修了する皆さんへ -式辞に代えて-


 先ず始めに、この度学士の学位を授与される177名の方々、修士の学位を授与される6名の方々、おめでとうございます。教職員一同を代表して心からお祝いを申し上げます。また、保護者、友人ならびにご関係の方々にも、心からお祝いを申し上げます。

 卒業式・学位授与式は、令和2年3月15日に盛大に挙行する予定で準備万端整えていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、中止と決定しました。卒業式・学位授与式は学生生活の節目であり、卒業・修了する皆さんはもとより、教職員、友人、ご関係の方々が大切に思い楽しみにしている大きな行事です。そのため、出来る限り挙行する方向で検討を重ねてきました。しかし、3月2日に発表された新型コロナウイルス感染症専門家会議の見解を踏まえ、皆さんの健康を守り、4月からの新生活に万が一にでも支障を来たすことのないよう配慮することが何よりも重要であることから、中止とする決定に至りました。皆さんが大変残念な思いをされるであろうことを考えると本当に心苦しい限りですが、やむを得ない措置と理解してくださるようお願いします。状況が日々変化したとはいえ、決定が遅くなったことも申し訳なくお詫びいたします。
  
 さて、奈良学園大学は今年で開学6年目となりました。3期生として入学した皆さんは大変活発で勉学と課外活動に励み、おかげで大学は活気づけられました。大学院第一期生の皆さんは、研究という高等教育機関における重要な役割の一端を担い、本学に新たな一歩を刻みました。

 建学の精神に謳われた「実学」は、前身の奈良産業大学、そして奈良学園大学の卒業生両方合わせて17,088名と共に、皆さんが引き継いで行かれるものと思います。

 人間教育学科で学んだ人は、教育実習や学校ボランティアを経験して、教師という仕事の社会的な役割や喜び、苦しさを自覚したことでしょう。看護学科で学んだ人は、厳しい病院実習を経験して、患者さんやそのご家族から感謝され、「ありがとう」と言われる喜びを知ることができたでしょう。学業とともに、部活動やボランティア活動、三室祭、登美ヶ丘祭などのイベント、あるいは海外研修といった様々な課外活動にも参加し、豊かな学生生活を送り、心に残る多くの思い出を持っていることと思います。

 全国の教員採用試験では、人間教育学部の現役生で延べ42名が合格しました。昨年の結果を上回り、本学における研鑽の成果が顕著に表れていると言えます。教師になる人だけでなく公務員や一般企業に就職する人も皆、教員免許を取得したことを忘れず、それぞれの職場で「人を育てる人」になることを意識し存分に活躍してください。

 看護の国家試験はまだ結果が発表されていませんが、その合格率は昨年度を上回る見込みです。また、看護師に加え、助産師あるいは保健師の資格を併せて取得する人も昨年同様と予想されます。卒業される皆さんは今後、素晴らしい看護師、保健師、助産師となり、医療・介護の現場で「人を支える人」として大いに活躍してください。

 大学院修了の皆さんは本学大学院の栄えある第一期生です。それぞれの仕事を続けながら、高度保健医療専門職者を目指して大変な努力をされました。夜間や土日の受講、家事や育児との両立は、皆さんの強い意志と努力、そして周りの方々の協力があってこそ達成できたと思います。本学で学んだ課題の発見力と解決力、高度な看護の実践力を今後、現場で生かしてくださることを期待します。

 さて、今年はオリンピック、パラリンピックの年です。厳しい選抜・競争の中、出場選手になるという夢を達成するために日々努力している選手の姿がしばしば紹介されています。皆さんも是非、自分が何をしたいのかをいつも自らに問いかけ、「夢」や「目標」あるいは「したい事」を見つけるよう心がけてください。ノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の本庶特別教授が色紙に書いてノーベル博物館に寄贈したことで話題となった「有志竟成(ゆうしきょうせい)」という言葉があります。強い志を持って頑張れば必ず事を成し遂げられるという意味です。とは言っても、もちろん「夢」は、それがどのようなことかにも依りますが、誰しも叶えられる訳ではなく、むしろ「夢」に向かって頑張っている途中で壁にぶつかることのほうが多いかもしれません。私は、私自身の人生を振り返って、「頑張りきれないと思ったら少し休んでも良い。ただ、何かを成し遂げようとしたら、あきらめてしまわないことが肝心」と思っています。少し休んで元気を回復し、また前を向くと思わぬ展望が開け、目標に少しでも近づくことができるでしょう。皆さんには「いつも前向きになるよう努力すること」をお勧めします。そして自分の納得いく人生を切り拓いてください。 
 
 今回は式典と関連行事を全て中止しました。それは、この新型コロナウイルス感染症が、感染しても症状の出ない、活発に行動する10代、20代、30代の若者によって知らず知らずのうちに拡大しているのではないか、と感染症専門家会議が指摘していることを、私たち教職員も妥当な指摘であると真摯に受け止めたためです。いま、この時点で拡大を抑えなければならない。そのために最も効果的なのは、本当に酷ですが、ここしばらく人と人との密接な交流を避けることだ、との指摘だったのです。科学的根拠に基づく論理的帰結だけでなく、人間の心理・感情・行動にも配慮しつつ最も良いと考えられる措置とは何か、今回の中止の判断について皆さんはどのように考えたでしょうか。社会人の一歩を踏み出そうとする皆さんも、将来このような難しい判断を迫られる場面に遭遇することがあるかもしれません。

 ところで皆さんは、三郷と登美ヶ丘の2つのキャンパスで学んできましたが、2年後には人間教育学部が登美ヶ丘に移転し、奈良学園大学は一つのキャンパスとなります。新しい建物も建設されます。こうすることで、登美ヶ丘キャンパスは、幼、小、中、高、大学、大学院のすべてを擁することになり、奈良学園登美ヶ丘校と奈良学園大学の双方に大きなメリットが生じます。大学内においても保健医療学部と人間教育学部の連携が深められることは間違いありません。これを契機に皆さんの母校は一層発展すると確信しています。卒業生、修了生の皆さん、本学を度々訪れその変革を確かめてください。いつでも皆さんを歓迎いたします。

 勉学に励み、様々な活動を通して豊かな人間力を身につけ巣立って行く皆さんは、本学の誇りです。今回の事態が一日でも早く収束すること、そして何よりも皆さんが健康で活躍し、誠実で良識ある社会人となることを心より願っています。

令和2年3月15日      
奈良学園大学 学長 辻󠄀 毅一郎