奈良県と県内大学の連携による特別講座を行いました
奈良県が県内学生や一般県民を対象として実施している「県内大学との連携による特別講座」が本学登美ヶ丘キャンパス2号館大講義室で行われ、保健医療学部の学生と一般の方々約140人が聴講しました。
講師には、政策研究大学院大学教授で医療政策コースディレクターの島崎謙治氏をお迎えし、「近未来の日本の人口構造と医療政策」をテーマにお話しいただきました。
はじめに、島崎教授は、日本が近い将来に超高齢化かつ人口減少社会に陥ることについてデータを用いて紹介され、30年後の社会保障給付費が財政に与える影響について懸念を示されました。
また、医療や介護給付費用の増大のみならず、世代間の給付と負担のアンバランスについても言及され、こうした現象が経済成長率にも大きく関わってくることから労働生産性や参加率を引き上げる政策が重要だと解説されました。
その上で、数十年後に医療・介護需要が増大する中での、財政面や人的資源の機能強化と効率化は不可欠で、そのための医療・介護・福祉などの労働を地域で担う地域包括ケアや在宅医療といった取り組みも必要だと強調されました。
そして、変容する人口構造がもたらす経済(医療)への影響が予測される今だからこそ、その対策を考えるべきで、特に本学の学生にとっては看護・医療従事者を目指す上で、これらの課題をとらえて改革の必然性と、与えられた条件の中で何をすべきかを認識してほしいと結ばれました。
講座終了後の質疑応答では、医療関係者など一般の方から、これからの医療や施設経営のあり方について質問が寄せられ、本日のテーマへの興味深さがうかがえました。
また、本学の保健医療学部1回生の学生は「少子化や生涯未婚率の背景について、またこれからの医療の提供のあり方についてなど、もっと多くのことを学びたい。そして自分が将来どのように役立てるのかを考えたい」と話し、看護を学ぶ学生としての立場を再認識したようでした。