第1回登美ケ丘カレッジが開催されました
登美ケ丘キャンパスで定期的に開催される公開講座「登美ヶ丘カレッジ」の第1回目が行われました。「子どもの声に耳を傾ける時間〜子どもの世界観を分かち合うために〜」と題し、講師として本学保健医療学部教授で心療内科医師、そして画家としても活躍する中川晶、同じく保健医療学部助教で助産婦の岡いくよが登壇。会場には本学の学生がベビーシッターを務める遊戯スペースも設けられ、小さなお子様連れの参加者の方も安心して参加されていました。
講座は中川教授と岡助教の対談形式でスタート。最近の子どもや学生はコミュニケーション下手な人が多いが、その原因はどこにあるかなど身近な例を交えながらカジュアルに語り合いました。その後日本におけるナラティブ・セラピーの第1人者でもある中川教授が、本学で開催しているナラティブ臨床研究会について紹介。ナラティブ(Narrative)とは物語という意味で、患者さんの話を物語として聞くことで治療につなげようというものです。これは心療内科におけるセラピーの一種ですが、親と子のコミュニケーションにも応用できるとして、今回その一部を紹介しました。
臨床ナラティブにおいては「相手の物語を引き出すことが大切」と中川教授。そのためには相手に考えさせるような効果的な質問をすることが必要だと語りました。キーとなる質問には①リニア・クエッション②サーキュラー・クエッション③ストラテジック・クエッション④リフレクシブ・クエッションの4つがあり、それぞれの意図や長所・短所などを説明。①②の常識的な質問で解決しなければ、③④のような相手の世界感を開く質問を投げかけることで、子どもの物語を聞き届けてあげることがポイントだと説きました。
最後に参加者の皆さんからのさまざまな質問に応える形で、子どもの世界感を分かち合うヒントを2人がそれぞれの立場からアドバイスしました。中川教授は「導くよりも子どもはどんな世界に住んでいるんだろうと興味を持つこと、相手の声を聞く姿勢が大切」だと強調。岡助教は「母親一人ができることには限られている、いろんな大人に育ててもらうという気持ちで、地域の中で互いに支え合っていければ」と語りかけ、1時間半にわたる公開講座を終えました。