「超高齢社会における生活支援に向けた地域産業創出を考える研究会」第2回講演会が開催されました
10月21日(水)、(社)奈良県経済俱楽部において、公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構主催による、「超高齢社会における生活支援に向けた地域産業創出を考える研究会」の本年度第2回目となる講演会が開催されました。
この研究会は、高齢者の健康長寿支援活動や介護・看護・リハビリ支援などの現場の声(ニーズ)と、大学や研究機関などの研究開発(シーズ)状況を知ることにより、「超高齢社会」向け新産業の芽が生まれるマッチング機会を設定し、生まれた芽の育成支援を目的とした研究会です。
今回は基調講演に国立大学法人奈良女子大学 生活環境学部教授、久保博子氏をお招きし、生活環境学という観点から高齢者の住居環境についてご講演いただきました。ニーズ紹介・シーズ紹介では、医療や介護領域においても注目されている人間装着型ロボットHALをテーマにして、それぞれのお立場から貴重なお話を伺いました。
はじめに公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構を代表して、常任理事の瀬渡比呂志が挨拶。続いて久保博子教授が「高齢者のための住居環境について」と題して講演を行いました。生活の器である住居と高齢者の健康との関わりを、調査事例を示しながらわかりやすく紹介。家庭内の死亡事故で最も多い入浴時の環境や、睡眠時の注意なども促しました。
ニーズ紹介では、地方独立行政法人 奈良県立病院機構 奈良県総合リハビリテーションセンター リハビリテーション科の柳澤和彦氏が登壇。理学療法士のお立場から、ロボットスーツHALを導入した医療現場の現状を報告いただきました。歩行などにおいては一定の効果が認められるものの、さまざまな改善すべき課題も指摘。今後期待する機器についても言及しました。
シーズ紹介では大和ハウス工業株式会社 ヒューマン・ケア事業推進部ロボット事業推進室 統括グループ・グループ長の福田祐介氏が、同社が推進するロボット事業について紹介。健康寿命延伸・認知症・老老介護の課題を解決すべく、さまざまなロボット介護器の開発・供給に努めている現況を語りました。ロボットスーツHALのほか、認知症患者にもセラピー効果があるとされるアザラシのぬいぐるみ型ロボット「パロ」にも関心が寄せられました。
最後に事務局から、新たな取り組みとして実施するマッチング情報誌について説明。奈良学園大学保健医療学部学部長の守本とも子教授が閉会の挨拶を行い、約3時間半にわたる研究会を終えました。会場ではビジネス創出の場に相応しく、相互に情報交換も行われた様子。参加者方々は皆熱心に聞き入り、活発に質問の声も上がるなど、関心の高さが伺えました。