奈良県大学人権教育研究協議会/総会・記念講演会「マスメディアと人権」が開催されました
5月14日(土)、奈良県大学人権教育研究協議会の総会・記念講演会を本学で開催しました。
今回は法務省人権擁護委員であり関西テレビ放送株式会社CSR推進局、一般社団法人優游福祉会理事の杉本眞一氏をスピーカーとしてお迎えし、「マスメディアと人権」と題してご講演いただきました。
冒頭に、あるお蔵入りした番組コンテンツを出席者に観ていただき、この番組の是非を問いました。
これを例に、マスメディアが数字(視聴率)を取るために、事実を曲げたり、時には差別的な論評を利用して、それを意図的に拡散していくようなこともあることを語られました。
科学的根拠のないダイエット法などで話題作りをしようとするのは、まさに事実とは違うことを拡散することで視聴率を得ようとする行為であり、同じような思考パターンがメディアによって拡散される差別であると話されました。
韓流ブームとヘイトスピーチの問題や、タレントで話題になったことをきっかけに、生活保護者に対する偏見の拡散を押し進めて来たメディアの問題点は、そこに携わる人間の人権に対する意識の低さ、あるいは人権を大切にするという当たり前とも言える価値観の無さが原因だと主張されました。
こうしたメディアが差別意識を助長する構造を、100年前に起こった差別意識と差別発言に関する事件や、最近の社会的構造の中で起こっている差別事情を例に、マスメディアと差別の構造について解説をしていただきました。
憲法9条の平和主義については、守らなければならないという論調が社会の中では高まっています。一方で憲法25条の「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という条文や基本的人権に関する条文に関しては、はたして守られているのでしょうか。これから未来に向けて守り続けることができるのでしょうか。マスメディアがそれに反した意識の誘発をしてはならないと、杉本氏は訴えました。