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「超高齢社会における生活支援に向けた地域産業創出を考える研究会」第4回講演会が開催されました

奈良学園大学登美ヶ丘キャンパスにおいて、6月30日(木)、公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構主催、奈良学園大学保健医療学部共催による第4回目の講演会「超高齢社会における生活支援に向けた地域産業創出を考える研究会」が開催されました。

同研究会は、高齢者の健康長寿支援活動や介護・看護・リハビリ支援などの現場の声(ニーズ)と大学や研究機関などの研究開発(シーズ)状況を知り、それによって「超高齢社会」に向けての新産業の芽が生まれるマッチング機会を設けることで、生まれた芽の育成支援を目的に開催されるものです。

今回は最初に、本学の梶田叡一学長による「いのちの教育」と題した基調講演が行われました。講演では、『〈いのち〉の理解と自覚のために』というテーマにちなんで、当日の新聞朝刊に掲載された『日本では65歳以上が人口の4分の1以上を占めるようになった』ことに触れ、「昔と違って、今の65歳は高齢者と呼ぶには若い。人はそれぞれの能力によって違う。それだけに年齢によって高齢者とすることには、いささか抵抗を覚える」と語りました。
そして、「全ての生命に『いのち』があり、その『いのち』は限りあるもので、取り返しできないものです。それだけに、震災や大事件などをきっかけとして、子どもの頃から『いのち』について教える必要があります」と、自身の体験を交えて、また、シャカ・イエス・モハメッドといった宗教家の死生観などを例に挙げて話が進められました。
最後に、「年齢を重ねた人は、それだけ豊かな経験と知識があるはずで、それを活かせる場があれば、高齢化社会になったからとおびえる必要はありません」と言って講演を締めくくりました。

続いて行われたニーズ紹介では、奈良県総合リハビリテーションセンターの脳卒中リハビリテーション看護認定看護師である石橋裕子氏が登壇。「回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者の看護」に関して、脳卒中とはどのようなもので、もし、なったなら生活にどのような支障が起きるのかなどの話から始まり、各種症状の例を踏まえながら回復期におけるリハビリテーションの大切さ、そして看護現場の現状などについて言及されました。

シーズ紹介では、大和ハウス工業式会社ヒューマン・ケア事業推進部ロボット事業推進室グループ長の福田祐介氏と株式会社プロアシスト代表取締役社長の生駒京子氏が講演されました。福田氏は、「アザラシ型セラピーロボット『パロ』について」と名付けたテーマで、同社で開発した癒し系のロボット「パロ」の実物を持参し、健康寿命の延伸や生産性の改善に果たす介護ロボットの重要性などを解説されました。続いて生駒氏は、「小型脳波計〈脳波センサZA〉を活用したヘルスケア」というテーマで、同社が開発した「脳波センサZA」を活用した携帯型の脳波測定器の紹介と、介護分野や医療分野などに留まらない、さまざまな分野への応用できる可能性について話されました。

最後に事務局から秋に発行予定の「マッチング情報誌」について説明が行われました。そして、奈良学園大学保健医療学部学部長の守本とも子教授が閉会の挨拶をし、約3時間半にわたる研究会を終えました。会場では、参加者方々は講演に熱心に耳を傾け、さらに質問の声が上がるなど、高齢者向けの新製品への関心の高さが分かる研究会となりました。また、ビジネス創出の場らしく、相互に名刺交換が行われる光景も見られました。

「高齢社会研究会」は、奈良学園大学保健医療学部が共催しており、次回は、本年9月に奈良県社会福祉総合センターにおいて第5回目の講演会を予定しています。