研究室訪問

  • 人間教育
    学科

    • 准教授
    • タワラ ヨシヒロ 田原 喜宏
  • 乳幼児教育専修 准教授 田原  喜宏(タワラ ヨシヒロ)

プロフィールを教えてください

  • 1980年兵庫県生まれ、兵庫県立八鹿高等学校卒業、大阪市立大学理学部数学科卒業、大阪市立大学大学院理学研究科数物系専攻修了後、東北大学大学院理学研究科数学専攻修了。博士(理学)(東北大学)です。
    一貫して数学の研究(確率論)を行っています。

    本学で勤務する前には高等専門学校というところに勤めていました。その当時は柔道部顧問もしていました。
    私自身は柔道弐段です。初段を取るまで昇段試合以外の公式戦では負けたことがありません。初段を取ってから以降、現在に至るまで、昇段試合を含め一度も公式戦で負けたことがありません。理由は簡単で出場したことがないからです。

どんな研究をされているのですか?

  • 確率論の中でもポテンシャル論など解析学(微積分の話の発展した内容)との関係の深いディリクレ形式の理論を用いて対称マルコフ過程、とくにその漸近挙動や対応するマルコフ半群の解析的な性質に関する研究を行っています。例えば、空間の中を自由に動く微粒子を記述する数学モデルであるブラウン運動は熱方程式と呼ばれる偏微分方程式(関数の微分が含まれるような方程式)と対応することが知られていますが、この関係はもっと一般に時間に応じて空間をランダムに動くマルコフ過程と呼ばれる確率過程のあるクラスと生成作用素との関係で与えられます。この関係を用いて、確率的な概念であるマルコフ過程に対し解析的手法を利用してその性質を研究しています。
    確率と聞くとサイコロを振ったり、袋の中から玉を取り出して元の袋に戻したり戻さなかったりするようなイメージがありますが、現代の確率論はむしろ「無限次元の積分論」といった様相を呈しており、抽象的な問題を対象にして議論を研究がなされています。
    これまではシュレディンガー半群のp乗可積分空間上での増大度がpに依存しない``L^p独立性”の問題やレート関数を用いたドンスカー・ヴァラダーン型大偏差原理の研究を行ってきました。
    現在はハーディ型不等式や内在的超縮小性と呼ばれる性質などについて研究を行っています。

今の研究分野に興味を持つきっかけやエピソードを教えてください

  • 小学校の頃から算数・数学が好きでした。とくに高校までの数学では解法が違うのにきちんと同じ結果を得られるところが好きでした。
    大学に入って数学を学ぶと非常に抽象的で難解な概念を理解せねばならず、苦労しましたが、それを理解できたり、また定理を証明できた瞬間などは苦労の分だけ非常に嬉しく、その繰り返しで数学を学んできました。
    数学には大きく分けて代数(方程式や整数についての分野)・幾何(図形の形や構造についての分野)・解析(微積分や関数の性質についての分野)の3つの分野があったのですが、3回生の頃に受けた解析に関する授業が面白く、解析の分野に進みました。その後に4回生の終わり頃からセミナーで読んでいた本の1つのトピックに興味を惹かれ、その分野の発展に関わりの深い確率論の分野に進むことにしました。
    その確率論のテキストとしてお勧めされた書籍の著者の一人の先生に博士課程での指導教員になって頂き、更に確率論の面白さや考え方を学びました。

担当している授業の中の1つを紹介してください

  • 確率・統計基礎

確率・統計基礎はどんな授業ですか?

  • 前半では平均値、中央値、最頻値、分散や2種類のデータの関わりといったデータの整理の内容の基礎を学びます。
    後半では古典的確率の基礎から始めて、現代の確率論(公理的確率論)について学びます。
    その後に具体的な確率分布(同じ試行を何度も繰り返す2項分布や、非常に稀にしか起こらない事象についてモデル化したポアソン分布、物理学や経済学でもよく使われる正規分布)の性質などについて学びます。
    また幾つかの極限定理、つまり試行を何度も繰り返したときにどのような値や分布に収束するのかについて学びます。いわゆる大数の法則や(ド・モアブル=ラプラスの定理と呼ばれる)2項分布と正規分布の関係性について学びます。

趣味や特技など好きな休日の過ごし方などを教えてください

  • 休日には大体部屋の掃除をしています(平日は忙しくて殆どできないので)。その後に時間に余裕があればよくドライブに行っています。
    この原稿を書いているとき、実は私は奈良に来てまだ3ヶ月程でして、まだ解らないところばかりです。
    奈良県には神社仏閣が多く、行く度に新しい発見を得られるのは非常に楽しいことです。先日も松尾寺という日本最古の厄除霊場に行って来ました。
    最近は行っていないのですが、「国道」ならぬ「酷道」(読んで字の如く国道なのに酷い道)も好きで、1日かけてある酷道を走破したこともあります。