研究室訪問

  • 人間教育
    学科

    • 准教授
    • ハラグチ タダユキ 原口 忠之
  • 中等数学専修 准教授 原口 忠之(ハラグチ タダユキ)

プロフィールを教えてください

  • 私は、小学4年生の頃までは、算数がとても苦手でした。ところが、小学校5年生の担任の先生の算数の授業がとても分かりやすく、算数がとても好きになり得意教科になりました。これがきっかけで、数学に関係するような職業に就きたいと強く思ったことを今でも覚えています。小学校の頃の数学力を考えると、数学者という職業に就いているとは、夢にも思えません。座右の銘は、人間は間違いがデフォルトです。数学にミスはつきもので、人生はもっとミスがあります。ミスしても、あまり気にせず前向きに取り組むことをモットーにしています。

どんな研究をされているのですか?

  • 数学の専門は、位相幾何学と微分空間です。連続写像と相性の良いホモトピー論を滑らかな写像で展開できるように数学的な構造を作っています。とくに、点と点を結ぶ2つの連続写像をつないでも、連続写像ですが、滑らかな写像で考えた場合は、このつなぐ写像は滑らかな写像とは限りません。このような連続写像で、当たり前に使える性質を、滑らかな写像でも扱えるように工夫しています。最終的には、位相空間や微分空間で展開されるホモトピー論は一致することを証明することが目標です。

今の研究分野に興味を持つきっかけやエピソードを教えてください

  • 大学院生のときに、位相空間の一つの写像空間を勉強していました。修士論文はこれに関係する内容のものを書きたいと指導教官に伝えたところ、diffeology(微分空間)を紹介してくれたことが、きっかけで、今もdiffeologyを主戦場にして研究を続けています。微分空間と滑らかな写像からなる圏Diffにモデル構造を導入する研究を10年続けてきました。なんとか証明を終えることができ、証明が正しいことが認められたときは、とてもうれしかったです。

担当している授業の中の1つを紹介してください

  • 幾何学基礎

幾何学基礎はどんな授業ですか?

  • 大学の数学は、高校まで勉強していた数学の難易度より、はるかに高くなります。初めて大学数学を学ぶ上では、欠かすことができない集合論を紹介します。とくに任意性と存在性が重要です。これらの概念は、高校までの数学では、知らないうちに扱っていますが、大学受験数学を解く際に、これらが必要になってくる問題は少ないです。任意性と存在性を正確に理解し、大学数学を学ぶための必要な基礎的な概念を勉強しています。

趣味や特技など好きな休日の過ごし方などを教えてください

  • 趣味は、将棋です。棋力はアマチュア4段くらいだと思います。将棋ウォーズは4段で将棋倶楽部24ではR2000くらいです。将棋の考え方は、数学で研究をしているときの思考と似ているところがあります。将棋は序盤の段階で、ある程度、終盤はこうなるだろうなと思って指します。数学の研究も一緒で、序盤の構成を考えている段階で主定理をある程度想定しています。そして、玉を詰ますときの作業が主定理の証明をしている感じです。どちらも大事なことは、理論の組み立てです。ここが緩いとうまくいきません。

    特技は、ソフトテニスで中学から大学まで10年間プレイしていました。大分高専では、ソフトテニス部の顧問として、全国高専大会で団体、個人ともにベスト4に入賞させた実績があります。