人間教育
学科-
- 准教授
- オカモト ケイタ 岡本 恵太
プロフィールを教えてください
- 私は、兵庫県の公立小学校で30年近く小学校の教員をしていました。小学校の教員は、子どもたちの成長を間近で見ることができる職業でした。何事かに挑戦して「やりとげた」「できた」と子どもたちが喜ぶ姿に私自身が感動することが何度もありました。私は特に国語科の教育に力を入れていました。子どもたちと物語や説明文を読んでいると、自分自身今まで気づかなかった読み方に出会うことが何度もありました。そうした体験から得た「実践のための手立てや考え方」を今度はこれから先生になる人たちに伝えていきたいと強く考えるようになり、2018年度より本学の教員になりました。
どんな研究をされているのですか?
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私は教育コミュニケーションの研究に取り組んでいます。
私たちは、お互いに言葉をやり取りすることを通して、様々なことをやり遂げています。例えば、約束すること、相手を説得すること、分かりやすく説明することなどです。日常生活の中の問題を解決するために言葉は欠かせません。
では、どのように言葉を使えば、私たちは、自分自身の目標を達成したり、協力して問題を解決したりことができるのでしょうか?私は、特に授業の中での「言葉のやり取り」に着目して、教師と子どもたちが共に問題を解決する姿を研究しています。
今の研究分野に興味を持つきっかけやエピソードを教えてください
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私は、小学校の教員としてより良い授業をしたいと努力してきました。先輩の先生方の授業もたくさん見せていただきました。先輩の先生方は、子どもたちの深い考えを引き出し、子どもたちどうしの考えをつなぎ合わせて、授業の目標を達成していました。
「どうすれば、先輩方のような授業ができるのだろうか?」私自身、手探りで授業の改善に努めてきました。この過程で「教育コミュニケーション」、つまり教師と子ども・子どもどうしの言葉によるやり取りの大切さに気付いてきたのです。
そうして、子どもの発言を最後までしっかりと聞き取ることや、子どもたちの話し合いを適切に整理することを実行していきました。だんだん、授業で手ごたえを感じることも増えてきました。
こうした実践の手立てを若い先生方と分かち合いたいと考え、自分の取り組みを研究として形にすることを志しました。
担当している授業の中の1つを紹介してください
- 言葉の理解
言葉の理解はどんな授業ですか?
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言葉の理解は、私たちの日常生活を見つめ直し、改めて言葉の持つ「不思議さ」「楽しさ」をとらえて、これからの教育実践に生かせるようにすることを目指した授業です。授業では、日本語の特徴、言葉の適切な使い方、方言や流行語などのテーマを取り上げています。
「日本語の特徴」を取り上げた、授業の実際を紹介します。童謡「きらきら星」を想い出してください。日本語版と英語版を比較してみると興味深いことが分かります。同じフレーズで比較すると日本語の方が情報量が少ないのです(図1)。さらに、英語では、「韻」を踏んでいます。〈star〉と〈are〉のように似ている音を繰り返し使って言葉の響きを美しくしてるのです(図2)。ところが日本語には「韻」がありません。こうしたことは、日本語の音声の仕組に原因があるのです。(詳しくは授業で考えます。)
では、本当に日本語では「韻」が踏めないのでしょうか?実は、最近のポップスミュージックでは、「韻」を踏んでいるものが増えています。日本語の使い方は日々、工夫されているのです。あなたの好きな曲を思い浮かべてください。同じ音の繰り返しで響きを美しくしている部分が見つかると思います。歌やマンガなど様々な所に、日本語の不思議さ、面白さが表れているのです。