研究室訪問

  • 看護
    学科

    • 講師
    • ニシデ ジュンコ 西出 順子
  • 乳幼児教育専修 講師 西出 順子(ニシデ ジュンコ)

プロフィールを教えてください

  •  新人看護師として入職した先で出会った医師が、ターミナルケアやシステム化される前の在宅医療に導いてくださり、『望ましい死の在り様』や『人の心』について深く考える機会を得ました。その後臨床経験を重ねるうちに、人の理解や心をケアすることに自学での限界に行き当たり、臨床心理学を学ぶために大学に通いました。
     選んだ大学は面白いカリキュラムを組んでいて、社会心理学、臨床心理学、比較文化学と幅広く学び、また、教員も含め思いっきり学び遊べた環境でした。その時の指導教官の在り様が、現在自身の「道しるべ」でもあります。臨床心理学をさらに学ぶために大学院にすすみ臨床心理士のライセンスを得ました。臨床心理士としては、主にリハビリテーション病院でベッドサイドカウンセリングとスタッフカウンセリングを行っていました。臨床での困りごとは大学院から続く学友達と徹底した守秘義務の中でグループスーパーバイズをし合う等、今も遊び学び合う関係性は続いています。
     カウンセリングを重ねるうちに、看護師にもこの技術があればさらに患者さんの力になれるのではないかと思い、大学に入職しました。大学では、始めは准看護師のライセンスを持つ社会人の通う短大で、中年期学生の悩みと学習支援をする貴重な体験を経て、現在は、大学で精神看護学を通して、人の心の理解や関係性の中で人をケアすることを学生の皆さんへ伝え、学んでいます。

どんな研究をされているのですか?

  •  人との関係の中で、人がどのように様々な迷いや困難を乗り越え、癒され、また成長していくのかに関心があります。
     人との関係性も色々ありますが、主にケアを受ける人の心と精神の回復や成長を意識したコミュニケーションの在り方について研究をしています。現在は精神看護を教える立場にありますので、精神科病院での看護師のコミュニケーションに関する意識と実際の現状を把握し、患者さんが自分らしく生活していけるように、看護師の関わる力の向上に携われるような支援の在り方を模索しています。

今の研究分野に興味を持つきっかけやエピソードを教えてください

  •  私は、患者さんの話をよく聞くタイプの看護師だったと思います。患者さんの話を聞くことで気持ちがわかり、ケアに対するエネルギーを高め、それが一種のやりがいにつながっていたとも言えます。同僚の看護師から「西出さんだから聞けるのよ」と言われることがあり、そのように言われることに違和感を持つこともありました。その時は患者さんとの関係性の中で生じている大事なことについて説明したくても、他者が納得するように説明できなかったことによる不全感がきっかけです。
     患者と看護師の間に生じていることは目に見えないけれど、コミュニケーションを介して築く良い関係性が患者の心に働きかけ、明らかに回復に導いていく。人が人をケアすることの作用や技能を、人が納得できるように説明し、看護師の能力を高めていきたいと思いました。

担当している授業の中の1つを紹介してください

  • 精神看護学概論

精神看護学概論はどんな授業ですか?

  •  人の精神と「こころ」の発達とは?「こころ」と精神の健康と不健康について理解します。人を取り巻く家族を含む他者との関係性と社会がつくる価値やルールが、人の精神の健康に及ぼす影響について、事例等を紹介しながら解説し、いっしょに考えていきます。また、精神を病むということと医療の在り方を解説し、看護する上での大事な考え方と基礎となる知識を学びます。
     過去からの歴史の中で、精神障害者の置かれた境遇や精神医療・福祉について紹介し、精神障害者に向けられる偏見について考え、精神障害者の権利擁護の重要性を学びます。

趣味や特技など好きな休日の過ごし方などを教えてください

  •  学生時代は特に運動はしてこなかったのですが、22歳ごろからスポーツジムのエアロビクスにとりつかれ、細々と続けております。若い頃と違い、現在は思うように振り付けを覚えきれないので、ついていくのが必死ですが、音楽に合わせて踊るのは何才になっても楽しいです。
     あと人生の中で出会えてよかったと思うのは登山です。これも28歳頃から始めたのですが、屋久島から四国、関西、北陸、信州のアルプス山脈や東北、北海道の山に登りました。「しんどい思いをして何が楽しいの?」とよく聞かれますが、まず、年齢を超えたグループメンバーと無邪気に楽しめることと、刻々と変わる自然に触れ、五感全てを通して湧く刺激的な感覚、宿泊地について飲むビールのおいしさは何ものにも替えられない体験です。また、めっきり回数は減りましたが、テントを張り、みんなで協力し合って一晩を過ごす親密さも登山ならではと言えます。日常からかけ離れた体験はとても貴重で、体が動く限り続けたいと思っています。