リハビリ
テーション
学科-
- 准教授
- ふじた のぶこ 藤田 信子
プロフィールを教えてください
- 理学療法士を養成する大学を卒業後、約20年間、回復期病院や訪問リハビリテーション部を中心に理学療法士として働いてきました。その間、家庭の事情でカナダ、イギリスに渡ることがあり、約5年間海外の文化・歴史を学ぶ機会がありました。その後、大学院に進学して人間の身体の動きと行動を客観的に測定して分析することを学びました。博士課程を終了した後、理学療法士を養成する専門学校および大学で教鞭をとり、現在に至ります。娘が二人いる母親です。
どんな研究をされているのですか?
- 現在、線維筋痛症という慢性疼痛の難病患者さんの症状改善に有効な運動療法の開発に取り組んでいます。患者さんは全身の痛みやうつ、認知障害、不眠、生活動作障害など、心身の症状に苦しんでおられ、治療方法はこれまで薬物療法が第一手段とされていました。世界中で治療法が研究されている中、”有酸素運動”が非常に有効であることがわかってきましたが、どんな方法で行うかはまだはっきり知られていません。また、なぜ運動が患者さんの心身の症状を和らげるのかといったメカニズムもはっきりしていません。運動は薬物と異なり、患者さんの体の負担も金銭的な負担も軽くすることができます。標準的な運動療法が開発することで、少しでも患者さんの生活の質が上がることを目指しています。
今の研究分野に興味を持つきっかけやエピソードを教えてください
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高齢者の方が転びやすいのはなぜでしょう?筋力が弱くなるから?足を大きく動かせないから?目が見えにくくなるから?・・・実は加齢に伴い低下するのは身体の機能だけではありません。前頭前野というヒトで最も発達した脳の最高中枢部が加齢に伴い低下すると、物事に集中する力・注意を向ける力・判断する力・行動・計画実行する力が衰えてしまいます。私は大学院で高齢者の方々を対象に、前頭前野の機能を測定する機材を用いて研究を行ってきました。そして、高齢者は認知的な課題を与えられると立位、また普通に歩行をしながら、同時に他に注意を向けることができなくなることを明らかにしてきました。つまり、筋力や体の柔軟性が十分備わった高齢者でさえ、不意な出来事に注意をとられてしまうと転んでしまう確率が高くなるのです。ヒトの脳の機能と立位や歩行の調節を行う下肢の機能は互いに影響し合っているのです。
現在は、慢性的に痛みに苦しむ方々の前頭前野の機能や情緒を司る脳の部分の機能の低下が、身体機能・生活機能を低下させていると考えています。患者さんの脳の機能を正常にするためには、我々が専門とする運動療法をどのように活用すればよいのか、現在、研究に取り組んでいます。
担当している授業の中の1つを紹介してください
- 中枢神経障害理学療法学
中枢神経障害理学療法学はどんな授業ですか?
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脳卒中という言葉をご存知でしょうか。脳の血管が詰まったり破綻して出血することで、全身の機能が低下して後遺症を残してしまい、患者さんは日常生活を自立して行うことが困難となります。患者さんの後遺症をできるだけ残さないために我々ができることは、患者さんの理学療法を早期から行うことですが、そのためには疾患に対する知識はもちろんのこと、生理学・解剖学・運動学などの基礎的な知識が必要となります。理学療法で最も問題となる立つ・歩く動作を獲得するための装具の知識も必要でしょう。
脳卒中理学療法の歴史は長いため、これまで治療は試行錯誤を重ねられています。麻痺を回復させるための徒手を用いた治療、装具を中心とした治療、最近ではロボットを用いた治療や、脳に直接、磁気刺激を当てる治療なども開発されています。それぞれの治療法を紹介しながら、「患者さんの個々に応じた治療」の重要性を学んでほしいと願っています。
趣味や特技など好きな休日の過ごし方などを教えてください
- たまにですが、本屋さんで半日、ゆっくり時間を過ごすのが好きです。