リハビリ
テーション
学科-
- 特任教授
- シバタ マサヒコ 柴田 政彦
プロフィールを教えてください
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私は、痛みの診療を専門とする医師です。大阪大学医学部で長年痛みの研究や診療に携わってきました。
医療において痛みは、厄介なもので緩和する対象です。確かにケガや手術をした後の痛みやがんの終末期の痛みは緩和が必要です。
しかし、よく考えてみると動物である人間は痛みという仕組みが身体に備わっているおかげで、危険を回避して死なずに生きていくことが可能だったというありがたい面もあります。
私はもともと麻酔科医で、麻酔で眠っている人の手術中の管理が専門だったのですけれども、痛みの診療や研究に携わるようになり、病気を診るのではなく人を診るという視点の大事さに気づいて、臨床心理学を学びました。今は慢性痛に対する認知行動療法の研究をしています。
医療における痛みの対応や治療はまだまだ発展段階です。平均寿命が90歳近くなってきた今日、これ以上の寿命の延長が幸福につながるかどうかは大きな疑問です。これからの医療は、患者さんが生きている間、しっかりとその方を支えていくことが必要な時代になります。これからの医療を担う皆様方と一緒に、痛みについて一緒に考えることができたらと思います。 -
どんな研究をされているのですか?
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以前は、動物(ネズミ)で痛みの研究をしていたこともありますが、主に痛みの診療を通して痛みの原因や、痛みが長く続く心理的・社会的な要因についても研究してきました。大阪大学にいたころは、痛みと関連する脳研究にも取り組んでいました。近年は、自分の経験や学んだことを一人でも多くの医療者や患者さんに伝えることに取り組んでいます。当大学での講義もその活動の一つです。
今は政治家の野田聖子議員などと一緒に痛みの法律を作ることに協力しています。
今の研究分野に興味を持つきっかけやエピソードを教えてください
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大阪大学医学部附属病院で、原因の特定が困難な長く続く痛みの患者さんを大勢診てきて、痛みは身体の問題だけではなくて、心理的な問題や社会的な問題も大事だと感じたことがきっかけです。
子供のころに肘を脱臼した後、治ってギプスを外した時に、「治って嬉しい」という気持ちと、「動かしても大丈夫なんだろうか?」という不安な気持ちを感じ、不思議に感じた経験もこの領域に興味を持つことにつながっているような気もします。
今の日本の医師が、臨床心理学の知識に欠けていて、患者さんへの配慮が足らない場面を見てきたことも興味を持つきっかけだったかもしれません。
担当している授業の中の1つを紹介してください
- 痛み学総論
痛み学総論はどんな授業ですか?
- 皆さんが経験する痛みについてわかりやすく説明し、一緒に考えてもらうような講義です。非常に危険な痛みもあれば、痛みは強いのにさほど危険でない痛みもあります。痛い病気について知ってもらって、まず、いろいろな病気についての興味を持ってもらうよう導きます。リハビリ療法士や看護師を目指している皆さんが、将来役に立つようなことをわかりやすく伝えて、やりがいのある仕事につきたい、もっと勉強したいという気持ちを育みます。
趣味や特技など好きな休日の過ごし方などを教えてください
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学会活動や講演会など今でも週末は仕事関係のことで結構忙しいですね。楽しく仕事ができていることはありがたいです。昔はスキーやラグビーが好きでやっていましたが、今はスポーツ観戦がやっとです。昔の仲間と一緒に出身高校のラグビーの試合を見に行ったりしています。
NPO法人痛みにとりくむしらかば(Youtube 動画)
https://www.youtube.com/@NPO-shirakaba
