リハビリ
テーション
学科-
- 講師
- ノダ ユウキ 野田 優希
プロフィールを教えてください
- 私はスポーツリハビリテーションを専門に研究と教育を行っています。自分自身も、スポーツをして多くの怪我を経験したことが医療の道を志すきっかけとなりました。大学で教員をするまでは、スポーツクリニックに10年間勤務し、多くのアスリートの治療やスポーツ復帰をサポートをしてきました。現在でも、バレーボールの実業団チームにトレーナーとして帯同し、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、日々のトレーニングや試合中のサポートを行っています。負けて悔しい思いをすることも多いですが、勝ったときの喜びや、自分が関わった選手が活躍する姿に達成感とやりがいを感じています。
どんな研究をされているのですか?
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私の研究の主なテーマは「足関節捻挫」です。足関節捻挫は、スポーツをしているときに特によく起こる怪我の一つです。皆さんの中にも、足首を捻挫した経験がある人が多いかと思います。身近で多く発生する怪我であるが故に、軽視される傾向があり、きちんと治療しないまま何となく復帰することで、捻挫を繰り返してしまうことがあります。「捻挫はくせになる」ということはよく知られていますが、これを「慢性足関節不安定性」といいます。何度も捻挫を繰り返すことで、なかなかパフォーマンスが回復せず、痛みも慢性化してスポーツを断念せざるを得なくなる場合もあります。そこで、私は「どうすれば捻挫をした後に安全にスポーツ復帰できるか」、「どのようなリハビリテーションを行えば再発を防ぐことができるか」をテーマに研究しています。
スポーツを楽しむためには、怪我の予防と怪我をした後の適切な対応がとても大切です。私の研究が、安全にスポーツを続けられる手助けになれば嬉しいです。
今の研究分野に興味を持つきっかけやエピソードを教えてください
- 私が足関節捻挫の研究に興味を持つようになったきっかけは、自分自身がひどい捻挫を経験したことです。当時、私はバレーボール部に所属していて、練習中にスパイクの着地で足を捻ってしまいました。すごく腫れて足をついて歩くこともできない状態ですぐに病院に行きました。ギプスで1ヶ月ほど固定することとなり、ギプスが取れたときには足首がガチガチに固まってしまっていました。今の足関節捻挫の研究では、重症な捻挫であってもギプス固定は10日以内にすること、できる範囲で荷重しながら治療していくことが早期復帰、治療成績の向上に良いことが分かっていますが、当時はまだ研究でそこまで分かっていませんでしたし、足関節捻挫に対するリハビリテーションもあまり積極的に実施されることもない時代でした。また、そのころ私は大学受験を控えていたこともありリハビリにあまり通いませんでした。その結果、今でも足首の動きに違和感を感じたり、足首が不安定に感じたりすることがあります。この経験を通じて、「どうすれば足関節捻挫を予防できるのか」「捻挫をした後にどうすれば安全に復帰できるのか」という疑問が生まれました。そして、同じように捻挫に悩む人たちを助けたいという思いから、足関節捻挫の研究を始めました。
担当している授業の中の1つを紹介してください
- スポーツ障害理学療法学
スポーツ障害理学療法学はどんな授業ですか?
- この講義では、主にスポーツによって起こる怪我について学びます。スポーツで起こる怪我には、大きく分けて瞬間的に大きな外力が加わって生じる外傷と、動いている内に小さなストレスが繰り返し加わることで生じる障害(オーバーユース)があります。受傷パターンは全く異なっており、それぞれの特徴を知り、適切な予防策を講じる必要があります。その怪我がなぜ起こるのか、どんな場面か、また治療やスポーツ復帰、再発予防のためにはどんな評価、リハビリテーションが必要なのかについて講義します。スポーツの現場においては、関節を保護しながら段階的に復帰させたり、再発予防のためにテーピングを併用することもあります。そのため、テーピングの実技も取り入れています。
趣味や特技など好きな休日の過ごし方などを教えてください
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普段は大学で研究や授業を行っていますが、週末になるとチームに帯同しています。月1〜3回はチームの練習に帯同し、トレーニング指導やリハビリテーションを実施し選手たちのコンディショニング業務に携わっています。また、年4回の全国大会と4〜5回の地方大会に帯同し、大会中にベストコンディショニングで試合に臨めるようサポートしています。
大会中は、試合前のウォーミングアップや、試合後のクールダウン、そして選手のコンディショニングや痛みが生じている部位への対処、食事や水分摂取などトレーナーとしての役割は多岐にわたります。宿舎に戻ったあとも夜遅くまでコンディショニングすることもあります。
このように、週末は研究や教育とは違った形で、スポーツ選手たちと直接関わることができる貴重な時間です。