研究室訪問

  • 人間教育
    学科

    • 教授
    • ネギシ アキラ 根岸 章
  • 中等数学専修 教授 根岸 章(ネギシ アキラ)

プロフィールを教えてください

  • 群馬県前橋市出身です。高校は地元の前橋高校を卒業しました。前橋高校は地元では「マエコウ」ではなく「マエタカ」と呼ばれています。高校卒業後1年間予備校に通い、一浪で京都大学理学部に入学しました。
    大学院まで京大にいて、その間ずっと吉田寮に住んでいました。吉田寮は、総合人間学部(旧教養部)の敷地の南にある京大の学寮で、当時で築100年近くの木造2階建ての文化財でもおかしくないような建物でした。学部生のときは、囲碁部に所属していました。囲碁はそれからずっと趣味としています。
    その後福井高専に教員として就職して、福井市に3年間いました。20世紀の最後の年に奈良産業大学(現奈良学園大学)の経済学部に移り、それから、ずっと奈良市に住んでいます。学部は経済学部、情報学部と移り、奈良学園大学になって4年目から人間教育学部に移りました。2年目から数学専修ができ、それからずっと数学専修に所属しています。

どんな研究をされているのですか?

  • 研究分野を大雑把に言うと、解析学という数Ⅱ、数Ⅲで学ぶ微積から発展した分野になります。大学院生のころは、その分野の、シュレディンガー作用素のスペクトルを調べる研究をしていました。シュレディンガー作用素というのは、量子力学で現れるシュレディンガー方程式の定常状態を表す微分作用素です。作用素のスペクトルというのは、行列の固有値を拡張したもので、関数をベクトルとして扱い、微分や積分を線形写像として扱い、その固有値や連続スペクトルの分布を調べます。これによって、その微分方程式で記述される系に従い運動する粒子の様子がわかってきます。

    その後いろいろなことを研究していましたが、ここ15年ほどは、量子ウォークを中心に研究しています。
    量子ウォークを言葉でわかりやすく説明するのは難しいのですが、街中を酔っ払いが歩くことを数理モデル化したランダムウォークに対し、動き回るのが、内部自由度を持つ量子と呼ばれるものになります。これによって、通常のランダムウォークと異なった現象が生じます。この分野は量子コンピュータや量子アルゴリズムとの関連があり、今後の発展が期待されています。

今の研究分野に興味を持つきっかけやエピソードを教えてください

  • 今野紀雄先生の書かれた「量子ウォークの数理」(産業図書,2008)を学会に行った時に書籍販売で見つけ、パラパラと中を見て面白そうだと思い購入しました。なぜ面白いと思ったかは、よく覚えていませんが、当時はグラフ上のラプラシアンの研究をしていたので、そのせいかと思います。グラフ上のラプラシアンは、上で述べたランダムウォークを作用素論的に研究する分野です。その後、2009年から関連論文を読み込むなどして研究を開始しました。

担当している授業の中の1つを紹介してください

  • 解析学基礎

解析学基礎はどんな授業ですか?

  • 1年次後期に配当される解析学分野の最初の科目です。全15回の前半は、数学Ⅲの微積のやり直しに近いことをしています。ただし、極大や極小をどう定義するかといったことは、高校数学とは異なります。後半は、関数の独立変数を2つに増やした2変数関数の微積分である、偏微分や重積分を扱います。この科目の特色として、受講生に10問以上の問題を必ず作成するようにしていることが挙げられます。単に数学の問題を作るだけでなく、備考や正答、解説なども作らせています。問題作成は、問題を解く以上に大変な作業ですが、教員になるためには必須なスキルと考えています。

趣味や特技など好きな休日の過ごし方などを教えてください

  • 趣味の一つはサイクリングです。といっても、どちらかというとポタリングに近いかもしれません。日常的にも、自転車通勤で片道30分ほどを雨の日などを除き、毎日乗っています。休日もほぼ毎週自転車に乗っていますが、最近は、少し散歩に置き換わっています。家の周囲5kmくらいを特に目的を定めずに歩いています。
    もう一つの趣味は、囲碁です。中学時代にルールを覚えたのですが、本格的にやりだしたのは、大学に入ってからです。研究室に碁盤を置いていて、チャレンジャーを求めています。