研究室訪問

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    • 准教授
    • ヒガシ ヤスヒロ 東 泰弘
  • 乳幼児教育専修 准教授 東 泰弘(ヒガシ ヤスヒロ)

プロフィールを教えてください

  • 私は京都で生まれ、高校卒業まで京都で過ごしました。大学進学を機に大阪へ移り、現在は妻の実家のある神戸で暮らしています。

    大学時代は、合気道に熱中していました。心と体のバランスを大切にする武道で、礼儀や集中力など、いろんなことを学びました。また、スウェーデンに語学留学をしたこともあります。異なる文化や考え方に触れることで、自分の視野が広がったことを今でもよく覚えています。

    こうした経験は、作業療法士としての仕事や、学生の皆さんへの教育にもとても役立っています。今は、皆さんが将来を思い描けるよう、現場での経験や学びをわかりやすく伝えていくことを大切にしています。

どんな研究をされているのですか?

  • 私は、脳卒中(のうそっちゅう)を経験された方の生活をサポートするための研究を行っています。中でも、「トイレ動作」に注目しています。毎日の生活の中で、トイレに行くことはとても大切なことですが、脳卒中になると、この動作がうまくできなくなってしまうことがあります。

    大学院生のころは、高次脳機能障害という、目には見えにくい脳のトラブルをどうやって見つけるか、観察を通じて評価する方法を海外の作業療法士の方々とも共同で研究していました。その経験を活かして、今は、トイレ動作を詳しく観察し、「どの動きでつまずいているのか」「どんな工夫があれば自分でできるようになるのか」を研究しています。

    将来、作業療法士をめざすみなさんが、こうした視点で人の生活を支える力を身につけていけるように、私も研究を通じて貢献していきたいと考えています。

今の研究分野に興味を持つきっかけやエピソードを教えてください

  • 私が今の研究に興味を持つようになったきっかけは、病院で作業療法士として働いていたときに担当した、ある患者さんとの経験でした。脳卒中の後遺症で手足がうまく動かず、注意機能などの低下もある方でした。なんとか家に帰るために「トイレに一人で行きたい」という強い思いを持っておられました。

    トイレ動作は、毎日の生活の中では当たり前のことかもしれませんが、実はその人の「尊厳」に深く関わるとても大切な動作です。自分でトイレに行けるかどうかは、「自分らしく生きることができるかどうか」や、「自宅に退院できるかどうか」を左右する大きな判断材料にもなります。

    しかし実際の現場では、トイレ動作の支援がうまくいかないことも少なくありません。「どの動作でつまずいているのか」「どんな工夫をすればできるようになるのか」を科学的に明らかにできれば、もっと多くの人を支えることができるはず。そんな思いから、私はトイレ動作に特化した研究を始めました。

    現在は、動作を丁寧に観察し評価する方法を使いながら、よりよい支援方法を見つける研究を続けています。そして将来、作業療法士を目指す皆さんにも、この分野の奥深さややりがいを伝えていけたらと思っています。

担当している授業の中の1つを紹介してください

  • 日常生活支援学Ⅰ

日常生活支援学Ⅰはどんな授業ですか?

  • 「日常生活支援学Ⅰ」は、人が生活していくうえで欠かせない「日常生活動作(ADL)」について学ぶ授業です。ADLとは、食事、着替え、トイレ、入浴など、毎日行う基本的な生活動作のことです。この授業では、そうした動作に困難を抱える方に対して、作業療法士がどのように評価を行い、どんなふうに支援していくのかを学んでいきます。

    たとえば、トイレ動作ひとつをとっても、ズボンを下ろす動作や、便座に座る動作、立ち上がる動作など、多くの要素が含まれており、それぞれに工夫が必要です。授業では、実際の患者さんの映像を使用して、作業療法士の視点や考え方を体験的に理解してもらえるようにしています。

    また、将来的に臨床実習へと進む学生のために、現場での記録の取り方や、作業療法士としてのコミュニケーションのポイント、実践に活かせる技術なども伝えています。

    「誰かの生活を支える仕事」として作業療法士の役割をイメージしやすくなる授業かもしれません。人の生活に寄り添い、再び自分らしく生きる力を引き出す作業療法の魅力を、実感できる授業にしたいと考えています。

趣味や特技など好きな休日の過ごし方などを教えてください

  • 正直、すごくアクティブなタイプではありません。でも、いくつか好きなことはあります。

    ひとつは、野球観戦です。阪神タイガースのファンで、テレビの前で応援しています。もうひとつは、大学時代から細々と続けている合気道です。体を動かすだけでなく、心を落ち着ける時間にもなっています。

    それから、スウェーデンへの留学をしていた経験もあり、北欧の文化や考え方が好きです。時間の流れがゆったりしていて、みんな自然や家庭を大事にしている感じがとても心地良いと感じました。

    あまり派手な趣味ではないかもしれませんが、心と体を整えながら、自分らしく過ごすことを大切にしています。もし、皆さんがこれから将来のことで悩んだり、疲れたりすることがあったら、「自分を整える時間」をぜひ作ってみてください。