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10/21登美ヶ丘カレッジ第16回「災害時の心のケア」を開催しました

 

 10月21日(土)奈良学園大学1号館1407教室にて、第16回登美ヶ丘カレッジを開催しました。

今回は、本学保健医療学部看護学科の堀内美由紀教授による「「災害時のこころのケア」~誰もが支援者になれるように~」をテーマに講座を行いました。

 

 

 災害時の心のケアは、一般人でもできることであり、災害時以外の日常のコミュニケーションでも使えるものです。

 

 

 災害発生時は茫然自失する場合が多々ありますが、また同時に、そこから地域一体となって、がんばるという気運も生まれ高まります。しかし、その時期を過ぎると不信や怒りの気持ちが現れてきます。そして、生活再建のめどがつく場合は心も回復していきますが、先行きの見通しが立たない方々の中には、うつ病やアルコール依存問題・ひきこもりなどに陥っていくなど二極分化が見られます。

 

 

 災害時には、トラウマ的ストレス反応も起こります。トラウマ(こころの傷)とは、衝撃的、肉体的、精神的ショックを経験したことにより、こころの傷となってしまうことを指します。その反応が最大4週間持続し、フラッシュバックなどの症状が現れる「急性ストレス障害(ASD)」と、ASDが消失せず、症状が1か月以上続くPTSDに分類されます。

 

 

 そのようなトラウマ的ストレス反応を最小限に食い止めるために、「こころの応急手当(サイコロジカル・ファーストエイド=PFA)」が求められています。災害時の心のケアには、支援者が被災者を傷つけないようにすることが、何よりも重要です。

 

 こころの応急手当ーPFAは専門家にしかできないわけではありません。この講座では、参加された皆さんに、基本的な知識を身に着けていただき、ひきこもり問題などに対して、普段から地域で活用していただき、それを災害時にも役立てていただくことを目標にしました。

 

 実際の「こころの応急手当」としては、支援者が被災者に、安心安全の提供と基本的な生活の保障を確保するために動きます。被災者の中には、ストレス反応が強く出ているために、気が動転して自分自身や子供のケアができない人や、自傷や他人を傷つける恐れのある人がおられる場合があります。そのような時は、緊急に専門的な支援につなぐ必要があります。

 

 支援者に求められる姿勢としては、被災者の話をさえぎらず、根気よく話を聞き、時には沈黙も受け入れ、否定や評価をせず、被災者を落ち着かせることが大切です。

 

 

 まとめとして、「こころの応急手当」に必要なこととして、支援者自身が元気に活動できる健康な身体、それにプラスして被災者を、見る・聞く・つなぐという重要な基本姿勢が説明されました。

 

 

 その後、住民の方々が体育館に避難していると想定して演習を行いました。支援者役の方は、被災者役の方のお話をさえぎらないようにし、上手にコミュニケーションをとられていました。

 

 最後に堀内教授は、「普段、何もしていないと災害時に動けないので、地域の日常のつながりを大事にして、災害時にも生かしてくださいね。」と、講座参加者の皆さんに笑顔で語りかけていました。